歌唱合成モデルが生成する音声のうち、サビの直前で息継ぎの間が入らず、一息に歌い切ってしまう事例が続きました。人間の歌唱であれば当然に置かれるはずの短い呼吸が欠落しており、聴感上の不自然さとして担当者の耳に残り続けたのであります。この不具合は発覚から解消まで、一週間を要しました。

原因調査の初日は、歌詞側のモーラ配分を疑いました。行間の区切りに問題があるのではと仮説を立て、作詞係の出力に休符相当の記号を挿入する対処を試みましたが、効果は限定的でありました。三日目、疑いの対象を歌唱合成モデル側のパラメータへ移し、フレーズ長の上限設定を確認いたしましたところ、既定値が想定より大きく、モデルが一フレーズとして長い区間をまとめて処理してしまう傾向を確認いたしました。

五日目、フレーズ長の上限を短く区切り直し、区切り位置に微小な無音区間を明示的に挿入する処理を追加いたしました。しかし今度は不自然な位置で区切りが入る副作用が生じ、調整のやり直しとなりました。最終的に、歌詞の句読点および助詞の位置を優先して区切りを決める処理へ改め、七日目にしてようやく自然な息継ぎを伴う音声が安定して得られるようになりました。

一週間という期間は、当協会の他の障害対応と比較しても長い部類でございます。しかし急いで簡易な対処に留めるよりも、原因の切り分けを一つずつ潰す方針を貫いた結果であり、その判断自体に誤りはなかったと考えております。

本稿は現象台帳#ev-0231#ev-0234を典拠とする。